「ケムトレイルと違い、飛行機雲は長くても数分以内で消える」
という、ケムトレイル陰謀論者の定義は誤りです。
ケムトレイル陰謀論者は、飛行機雲について何も知らないか、
知っていて故意にデマを流している確信犯です。


飛行機雲に俄然注目が集まったのは、9・11同時多発テロの後、3日間、すべての民間飛行機の飛行禁止命令が出された時でした。
飛行機雲は、地表の熱を閉じ込める働きをし、結果的に地球温暖化に関与している、と言われていましたが、飛行機をすべて運航停止にする訳にもいかず、実証実験は行われていませんでした。
しかし、9・11が起こったことにより、絶好の機会に恵まれました。
その結果、飛行禁止命令が出された3日間は、その前後の3日間よりも、日較差が大きくなることが観測されたのです。(日較差とは、一日の最高気温と最低気温の差です)
つまり、大空港周辺など、飛行機雲多発地帯では、昼夜の気温の差が縮まることが実証されたのです。

日本においても、雲物理学という分野で、雲の研究をされている研究者がいます。
以下、北海道大学の、飛行機雲研究を紹介します。

【飛行機雲の偏波ライダー観測】
http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/14323/1/66_p11-31.pdf

ケムトレイル陰謀論者の飛行機雲の定義が根本的に誤っていることが証明されています。
―以下抜粋―

飛行機雲の発生様式には,直接的方法間接的方法の2通りがある.
直接的方法による飛行機雲とは,航空機のすぐ後ろに形成される飛行機雲であり,エンジンから
出た排気ガスが冷たい外気と混じり合い,初めから空気中に存在していた氷晶核か,もしくは航
空機から放出された氷晶核により結晶化する.そのように形成された排気飛行機雲と,機体に接
した空気が機体付近の気圧の低い所での断熱膨張により結晶化して形成された翼端飛行機雲があ
る.間接的方法による飛行機雲は,すすと硫酸等の液体揮発性エアロゾルの内部混合物から構成
される航空機の排出物がある程度時間が経過してから核化したもので,航空機の通過がなければ
雲が発生しなかった所に形成された飛行機雲である.これは航空機の排出物粒子が周囲の粒子に
比べて氷を形成する能力が強まった時に発生する.

1.飛行機雲の発生条件
航空機は燃料の燃焼により空気中へ水蒸気と熱を放出するが,飛行機雲の発生はその空気中に
加えられた水蒸気と熱量,そして周囲の気象条件により決められる. Appleman (1953)は,航空
機が放出する排気ガスに含まれる水蒸気と熱がその周囲の空気との混合した時,その混合物が水
飽和に達しているか否かを調べることにより,飛行機雲が形成し始める気象条件を求めた

Appleman (1953)は周囲の大気の気圧を100hPa毎に1000hPaから100hPaまで,
周囲の大気の温度を5度毎に-80度まで,周囲の大気の相対湿度を水に対して0,60,9 0,1 00%,
排気ガスと周囲の大気が混合する比率Nを58,87, 175, 350, 700, 1750, 3500, 7000まで変化
させ,排出ガスと周囲の大気の混合物が排気ガスから加えられた熱による温度上昇の中で水飽和
であり続ける為に必要な水蒸気量と⊿wの値が等しくなる時の気象条件を求めた.その結果が
Fig. 5であり,飛行機雲が発生する為の気象状況の境界が2本の実線で示されている.気象条件
は周囲の大気の気圧,温度と水に対する相対温度で決められる.周囲の大気の気象状況が相対湿
度100%の線よりも右側にある時(Never)は,周囲の大気が水に対して過飽和である場合を除き,
飛行機雲は発生しない.周囲の大気の気象状況が相対湿度0%の線よりも左側にある時(Always)
には,たとえ相対湿度が0%の場合でも飛行機雲が形成される.周囲の大気の気象状況が2本の
実線の聞である場合(Possible)には周囲の大気の相対湿度に依存し,図に示された数値よりも相
対温度の値が高ければ飛行機雲が発生する.
北大
Fig. 5にはAppleman(1953) の飛行機雲の発生条件と共に,観測した飛行機雲の気象状況が
飛行機雲毎に示しである. 2001年8月15日に比較的高い高度でい観測された2例の飛行機雲が
「Always」に, 2000年7月6日2001年10月20日に観測された2例の飛行機雲が「possible」
に位置しているが,他の10例の飛行機雲に関しては「Never」に位置しており,あまりAppleman
(1953)による飛行機雲の発生条件を満たしているとは言えない. しかし, 2000年10月24日の
観測においては上空に多数の巻雲が存在しており, 2001年8月16日の観測においては上空にも
やがかかっていた.これらの気象状況は上空の大気が水飽和である可能性を示唆している.
日本の飛行機雲観測では,梶川(1996)が観測を行った飛行機雲についてAppleman(1953)の
発生条件との比較を行っているが,我々の観測と同様に250hPaより高い高度で、はAppleman
(1953)の発生条件を満たしているが,それ以下の高度では「Never」に位置する気象状態の際に
も飛行機雲が発生している.また,外国における観測においても ・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・
Appleman (1953)の発生基準との矛盾を説明している.

ⅳ.考察
・・・・・(中略)・・・・・
このように,飛行機雲の成長過程には,雲を構成する粒子の落下シアーにより雲が引き伸ば
される過程の他に,飛行機雲を構成する粒子の形状,周囲の空気との混合による拡散作用鉛直
方向への空気の流れ
,そして周囲の大気の相対湿度による氷粒子の成長蒸発等の影響も働いて
いると考えられる.飛行機雲は様々な現象が混ざり合いながら成長, もしくは蒸発が起こってお
り,飛行機雲の成長に影響する様々な要素をそれぞれ詳細に調査する事により,飛行機雲の成長
過程についての理解はより正確なものとなることが考えられる.

v.まとめ
・・・・・(中略)・・・・・
我々が観測した飛行機雲の内, 2000年7月6日と2001年8月15日に高い高度で、観測した4例
の飛行機雲についてはAppleman(1953)による飛行機雲の発生条件を満たしていたが,低い高度
で観測された他の10例については,大気の温度が発生条件よりも数度高い場合においても飛行機
雲が発生し
,この傾向は梶川(1996)の結果と一致していた. Appleman (1953)による飛行機雲
の発生条件より高い気温でも飛行機雲が発生する事については,近年の航空機エンジンにおける
単位燃料当たりの推進率の増加
や,航空機が巡航する高度において,硫酸塩等の多数のエアロゾ
ルが存在している事が影響している
ものと推測される.・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・飛行機雲の
幅は風のシアーとほぼ線形の関係があり,風のシアが大きいほど飛行機雲の幅は大きくなってお
り.他の気象要素や飛行機雲が発生してからの経過時間等のパラメータと比較して,風のシアー
が幅を決定する重要なパラメータであることが示された.
以上,飛行機雲の発生条件,微物理特性,光学的特性について調べたが,これらには様々な気
象要素が関わっており,幾つかの物理過程が飛行機雲の成長過程を決めていることが示された.

―以上抜粋終了―(赤文字は読みやすくするために当ブログ管理人が色をつけました)

ということで・・・
飛行機雲が成長・発達して「巻雲」になることもありますから、「すべての飛行機雲は数分で消える」は、気象条件を無視した全くのデタラメです。
また、飛行機雲を形成する気温について「-40℃以下でないと出来ない」と断言しているサイトがありますが、それよりも高い気温でも発生することが、各国の研究者により観測されています。
そして、飛行機雲を構成する氷粒子は周囲の大気と混じりあいながら、風のシアや、自身が作り出す後方乱気流の影響を受け、様々な形状・幅に変化していきます。


変わった形の飛行機雲や、拡散していく飛行機雲を見て「ケムトレイルが撒かれた」などと断言するのは、妄言もいいところである。

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